2013年12月06日

毎日一案

 蒔絵師の大場松魚氏は「漆聖」と呼ばれた松田権六氏に師事しました。そこで学んだことの一つが、「一日一図案」だった(松田権六著『うるしの話』)
 大場松魚氏は師の松田権六氏から「毎日一つ、図案を描きとめるよう」に言われたそうです。1カ月で30、1年で365……それが1000案にもなれば、良いものが必ずあると。ある日、大場氏は意気込んで、1日に100案描いてみせたそうです。
 そうしたら「数の問題じゃあないんだ、こつこつ努力した一案が大切なのだ」と、ひどく叱られたそうです。調子の善し悪しによらず“毎日一案”描いて、何もしない日をつくらない。この地道さが、後に師と同じ「人間国宝」へと大場氏を大成させたのでしょう。

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