2013年11月28日

下にむかって育っているのだ

 日に日に寒さが増し、各地で落葉の季節となりました。“木の葉が落ちてから、芽が出るのではない。下から芽が出る勢いにこらえきれず、木の葉は落ちるのだ”吉田兼好は『徒然草』に記しています。そう考えれば、哀愁漂う晩秋も、また違って見えてきます。
 チェコの作家カレル・チャペックも、「木が秋に裸になるのは、枝々に、爆音とともに躍り出る春をつくっているからだ」と言っています。そして、視線を地上でなく、根の伸びる地下へと向けました。「自然はワイシャツの袖をまくり上げて、下にむかって育っているのだ。両手に唾をつけて、いっしょうけんめい土を掘っているのだ」(小松太郎訳『園芸家12カ月』中公文庫)と。

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