2013年11月24日

祈り

 哲学者のアルフォンス・デーケン氏が生死観の研究を始める契機となったエピソードがあります(『新版 死とどう向き合うか』NHK出版)。アルフォンス・デーケン氏が学生時代、病院で末期のがん患者の付き添いを頼まれる。自分に何ができるのか。苦悶の末、氏が選んだのは、患者と共に祈ることでした。それのみが相手と自分を支える方法であったのです。
 本格的な寒さを迎えた東日本大震災の被災地で、温もりの語らいが広がっています。自ら苦しみを抱えながらも、友は、もっと大変な人のもとへと足を運ぶ。じっと話を聞くだけの時も。たとえ何もできなくても、祈ることはできる。一人一人の顔を思い浮かべて「必ず幸せに!」と。信仰者とは、不屈の希望の表現者です。被災地の皆さまの祈りに心を合わせ、私も日々の復興を祈っています。

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