2013年07月25日

「腐敗」と「発酵」

 「甘酒」は夏の季語か? 冬の季語か? 答えは「夏」だそうです。意外に思いましたが、江戸時代、甘酒は真夏の飲み物だったというのです。
 当時の甘酒は、現在の酒粕を溶かしたものとは違って、炊いたお米に米麹を加え、一日、発酵させたものでした。そうすると、ブドウ糖やビタミンB類、アミノ酸などを豊富に含む。いわば、夏バテ防止の栄養ドリンクだったのである(小泉武夫著『発酵は力なり』NHK出版)
 お米が栄養満点の甘酒になるには「発酵」が必要です。発酵の原理は、微生物がかかわるという点では「腐敗」と同じです。違うのは生成されるものが人間に有益か有害かとの差です。
 思い通りに事が進まない時、気が滅入ることを「腐る」といいます。これは腐敗から転じた意味です。一方で、思い通りにならない困難であっても、それを克服し、勝利感が味わえれば、それは「発酵」といえるのではないでしょうか。

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