2013年06月08日

人生万般に通じる真理

 「偉大なる芸術家とは」との問いに、フランスの作家アンドレ・ジッドは言いました。"難渋することによって鼓舞され、あらゆる障害を踏切台に用いる人間のことである"と。このジッドが、例として挙げた逸話が興味深いので紹介します。
 ミケランジェロの代表作の一つ「モーセ像」の窮屈に座る姿は、「大理石が足りなかった」おかげで考え出されたという言い伝えである(『芸術論』河上徹太郎訳、第一書房。現代表記に改めた)。像は教皇の墓碑を飾るものとして依頼されたが、完成までの道は、墓碑計画の縮小、次の教皇による無理難題な別の仕事の押しつけなど、苦闘の連続だった。"障害こそが、芸術家の創造力を引き出すバネとなった"と。ジッドの芸術論には、人生万般に通じる真理が含まれています。

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