2013年05月27日

もう帰ろうよ

 漫才コンビの松鶴家千代若・千代菊の「もう帰ろうよ」―。この千代若師のゆったりした栃木弁を聞かれた方は見えますか.?
 コンビで「新相馬節」や「八木節」など、見事な技量で満場を唸らせたと思うと、ひょうきんな声で「疲れたから、もう帰ろうよ」。落差に、満場は大爆笑でした。
 この「もう帰ろうよ」には、背景があります。第2次世界大戦中、「寄席芸人」は「戦地慰問」に派遣されました。千代若師も前線に派遣されました。そこで見たのは、「士気高く勇敢な兵士」ではありませんでした。一瞬一瞬が「死」と「殺」に隣り合わせの、疲れ果てた兵士たち。笑いで慰問するはずが、思わず声に出ました「みんな、もう帰ろうよ」。以降、千代若師は反戦思想の持ち主と、憲兵に拘束されそうにもなりました。さらに、殺されかけたこともあったそうです。
 「もう帰ろうよ」は、そんな人生を全部ひっさげての、舞台の軽妙さなのです。

松鶴家千代若・千代菊 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E9%B6%B4%E5%AE%B6%E5%8D%83%E4%BB%A3%E8%8B%A5%E3%83%BB%E5%8D%83%E4%BB%A3%E8%8F%8A

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