2013年03月16日

一人前

 子どもが”一人前”になるとはどういうことか。さまざまな考えがあるでしょうが、全国の農漁村の暮らしを調査した民俗学者の宮本常一氏は、「社会人として調和のとれた人になること」(『庶民の発見』講談社)と端的に述べています。
 氏によれば、村里において”一人前”とは、単に身体の成長や仕事の技術向上だけを意味しません。地域の年長者らとの関わりを通じ、親孝行の心や信仰心が育まれ、人格が陶冶されていくことまでを含んでいます。だから「親は子を社会人として一人まえにするために、できるだけ子の教育を世人にまかせようとした」(同)
 家庭教育が重要なのは言うまでもありません。その上で、家族以外の地域の大人がどれだけ温かく関わるか。それが子どもの可能性を広げ、豊かな心を培うことにつながると宮本常一氏は述べています。

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