2012年11月29日

外国映画の字幕

 日本の映画館では、外国映画は吹き替えよりも字幕のほうが一般的です。スクリーンの右や下に出てくる字幕の文字は、独特な字形をしています。デジタル時代の今でも往時と変わらないのは、手書き時代の書体が写植として登録されているからだそうです。人間的な手の温もりが今も息づいているのです。まさに文化継承の妙です。
 ところで、人が文字を読むスピードには限界があります。限られた字数で、いかに訳すか、翻訳者の腕の見せ所です。字幕翻訳の第一人者は、日本の字幕文化について、日本の識字率の高さとともに、「本物志向が強いこと」を理由に挙げています(戸田奈津子著『字幕の花園』集英社文庫)。私たちは映画館で、その国の言葉を耳で聞きながら、活字を目で追い、声と映像の両方から“本場の雰囲気”を味わうことができるのです。

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