2011年11月09日

自分の代わりに相手のところを訪問する代理人

 はがきのことを「自分の代わりに相手のところを訪問する代理人」(清川妙著『葉書はサッと書く』講談社)と名付けた作家がいます。

 今年も「お年玉付き年賀はがき」の販売が始まっています。近年は少なくなってきているようですが、それでも新春には約40億枚ほどの年賀状が列島を行き交うそうです。国民一人当たりに換算すると、30枚にもなるそうです。

 書簡のマナーを記した室町時代の文献『書札作法抄』によると、年末の12月20日以後の書状には、新年を慶賀する言葉を書くように、とあります。

 新しい年に思いを馳せ、年内に祝賀の気持ちを書に託すのは、古くからの伝統のようです。一枚のはがきが、人の心と心を結ぶ新年の風物詩は、日本が世界に誇る庶民の文化です。
 メールも良いですが、この時期お世話になったあの方、この方、交流をさらに深めたいあの人、この人に年賀状という自らの“代理人”がお邪魔するのも良いものです。相手先に思いを寄せながら、一枚一枚、心を込めて綴りたいものです。




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