2018年08月16日

愛する家族を大切にする

 少年は、指で種子に触れると、たちどころに花を咲かせてしまうという不思議な力を持っていました。「花って、さいなんがおこるのをふせぐんだよ」と少年は言っていますが、父は兵器工場を営んでいたのです。
 そこで少年は、完成した武器に種を忍ばせ、つるを絡み付かせて使い物にならないようにしました。少年は花で戦争を止めました。その時、父は気付いたのです。“わが子を愛しつつ、孤児を生み出す大砲を作るのは矛盾している”と。父は花を育てる事業に転換し、街を潤したのです(モーリス・ドリュオン著、安東次男訳『みどりのゆび』岩波少年文庫)
 愛する家族を大切にするという気持ちと、他人の犠牲や不幸の上に自分の幸福を築かないという信念が融合するとき、平和の礎は強固となります。童話は優しい言葉遣いですが、深い哲学を訴えているのです。


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