2018年08月15日

感謝の人に

 仏教説話を一つ。ある日、サッピという王が“変装”して城下へ。途中、靴直しの老人に質問しました。「世の中で一番楽なのは誰だろう」。老人は答えました。「王様ですよ。皆、言うことを聞くし、国民は何でも献上する。こんな楽な商売はない」と。
 王は一計を案じました。老人を酒に酔わせ、眠っている間に宮中へ運び、「この者を王とせよ」と。目覚めた老人は、立派なベッドや服に驚嘆。「役人がお待ちしています」と、言われるがまま玉座へ。無数の政務が押し寄せるが、さっぱり分からない。疲労で美食も喉を通らず、日に日に痩せ衰える。再び酒を飲まされ、城下に戻った老人。「王様になった夢を見たけど、すっかりまいった」と語りました。
 人の苦労は表面だけでは分からないにもかかわらず、恵まれた境遇の人を見ると、つい「うらやむ」感情が湧いてしまいます。だが、「うら」(心の意)が「病む」との語源通り、実はあまり健全なものではないのです。
 うらやむ心が出るのは、自身の中の「感謝」が薄れている時でもあります。感謝の人に愚痴や不満はありません。周囲への感謝を忘れず、自身の使命に生き抜いていきたいものです。


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