2018年08月12日

青春の原点

 モンゴメリの名作『赤毛のアン』を初めて邦訳した村岡花子の生涯は、ドラマ化され、よく知られるようになりました。戦時中の厳しい言論統制、最愛の息子の死……。幾つもの苦難を乗り越え、終生、翻訳家として人々に元気を送り続けました。
 その胸には“青春の原点”がありました。女学校を卒業する時、恩師から送られた送別の言葉です。「今から何十年後かに、あなたがたが学校生活を思い出して、あの時代が一番幸せだった、一番楽しかった、と心底から感じるなら、私はこの学校の教育が失敗だったと言わなければなりません」(村岡恵理著『アンのゆりかご』)
 「一番幸せ」だったのなら、普通は「教育の成功」と考えたくなるところですね。どこまでも未来を見つめ、成長し続けてほしい、との恩師の慈愛の発露だったのだろうか。

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