2018年05月06日

推敲を重ねる

 今年はチャプリン没後41年です。「喜劇王」は完璧主義者であったことでも知られています。ヒトラーを痛烈に皮肉った名作「独裁者」のラスト、演説シーンには1000ページもの草稿類が現存するといわれています。
 もとの脚本では、チャプリン扮する「理髪師」が、ラジオを通じ各国に平和を訴える。すると、ドイツ軍は行進をやめ、スペインでは敵味方が抱き合う――。演説と、各国の様子が交互に描かれていました。しかし、チャプリンは推敲を重ねる中で原案を捨てました。演説のみにし“聞く側”を登場させなかったのです。
 日本チャップリン協会の大野裕之会長は、この演出について、聴衆とは「映画を見ている私たち」と分析しました。そして、「私たち」が「登場人物として現実で行動を起こす」ことで、同作は映画の枠を超え、いつの世にも人々に開かれていくと(『チャップリン 作品とその生涯』中公文庫)納得!!

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