2017年07月09日

キンシャサの奇跡

 “まさか”が現実になった舞台はアフリカのど真ん中でした。老いたモハメド・アリが、若き無敗の王者フォアマンを倒した、ボクシングの「キンシャサの奇跡」です。
 沢木耕太郎氏の自伝的紀行『深夜特急』に、中東の子どもたちが街頭テレビに群がり、アリの勝利に熱狂する場面が印象的に描かれています。黒人差別と戦い、ベトナム戦争の徴兵を拒んで王座を剝奪されたアリ。ふてぶてしいまでの強気の言動に眉をひそめる人もいたが、彼のそうした態度は常に、自分より強い存在に向けられました。
 権力を恐れない。権威に卑屈にならない。だから弱い者、虐げられた者ほど、アリを英雄と慕っています。

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