2016年08月04日

作家・吉川英治の信条

 作家・吉川英治氏のもとに、ある時、菓子が届いた。ふたを開けると、菓子に見事な装飾が施されていました。氏は、美しいと思う一方で違和感も覚えました。飾りすぎではないか、と。氏は服飾や建築も「過剰なデザイン」を好まなかった人です。
人についても、氏の見方は同様でした。「人間でも、ほんとの人物ほど、ありのままだ」「民衆の素朴さは、それゆえに尊いのだ」(『吉川英治全集52』講談社)。
 偉大な人は、内面からその魅力が発散しているから、肩書などで、過剰に外面を飾る必要がない。そして、市井の庶民の中に、その真に偉大な人間はいる――これが氏の信条だった。

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