2016年05月29日

“勝つ”ために、何度もシミュレーションを行う

 6000人以上の心臓疾患者の命を救ってきた、外科医の天野篤氏。氏が形見として大切に持つのは、父親の心臓に付いていた小さな人工弁です。
 氏の父親は心臓の疾患で亡くなったのです。2度目の手術には、助手として最善を尽くし、3度目にも立ち会いました。だが、父を救うことはできなかったのです。「父のような患者さんの姿は見たくない」。この悔しさが、最高の心臓外科医に、と誓うきっかけとなったのです。
 “神の手”などのマスコミの評に、氏自身は違和感を持つという。“手術に偶然の要素があってはならない。偶然性を排除し、必然性をつくっていく。それが手術を成功させるプロセスだ”と(『この道を生きる、心臓外科ひとすじ』NHK出版)。一回一回の手術に“勝つ”ために、何度もシミュレーションを行う。命を守ることに徹するのです。

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