2015年12月19日

「第九」と「ヘイ・ジュード」

 列島のどこかで、ベートーベンの「第九」が鳴り響く季節となりました。年末の集中的な演奏は日本独特の風習です。ルーツの欧州では、第九は「欧州連合賛歌」になっています。今年26周年を迎えた東欧革命を象徴する歌でもありました。  
 1989年12月、チェコのプラハではチェコ・フィルハーモニー管弦楽団による祝賀の第九演奏会が行われ、万雷の拍手が鳴りやまなかったと伝えられています。このチェコ「ビロード革命」を象徴するもう一つの歌が、ビートルズの「ヘイ・ジュード」をチェコ語にアレンジしたものです。もとは68年の「プラハの春」の後、女性歌手マルタ・クビショヴァが、自由への願いを託して歌いました。レコードは爆発的に売れたが、当局に危険視され発禁処分に。彼女も音楽界から永久追放の処分に遭うことに。
 だが、彼女の歌声は人々の心に残りました。ひそかに「ヘイ・ジュード」は歌われ続けたのです。第九の演奏会と同じ89年12月、広場に集まった30万人を前に、彼女は約20年ぶりの歌声を披露。人々はVサインを掲げ、革命の勝利を祝福しました。

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