2015年08月06日

広島70年

 広島に原爆を投下した爆撃機「エノラ・ゲイ」の乗組員は、全員が世を去っています。いや応なき時の流れです。彼らの受けた命令は、目標地点に爆弾「リトルボーイ」を投下すること。70年前のきょう、作戦は実行されました。戦後の彼らは、自身の行為を正当化し、謝罪を拒びました。
 一方、原爆開発の「マンハッタン計画」に携わる科学者の任務は爆弾の製造でした。ただ一人、計画から離脱したロートブラット博士は、他の同僚が計画に参加し続けた最大の理由を「純粋で単純な『科学的好奇心』」と、対談した池田SGI会長に語ったそうです。
 巨大プロジェクトの局面、局面で、当事者は職業的使命を遂行しました。その結果、広島・長崎の20万を超える人々が殺された。だから、同博士も署名した「ラッセル・アインシュタイン宣言」は訴えています。「あなたがたの人間性を心にとどめ、そしてその他のことを忘れよ」と。
 軍人である前に、科学者である前に、政治家である前に、あるいは記者である前に、「人間」であること。回り道のようですが、この根本からの思考なくして、絡み合った核をめぐる軍事外交ゲームの糸を解きほぐすことはできないのです。

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