2014年02月16日

声の響きの変化

 ずいぶん前の話です。日本映画の鬼才・溝口健二監督は名作「山椒大夫」を撮る際、安寿と厨子王の母親役を演じる田中絹代さんに“やせ衰えた感じがほしい”と伝えた。田中さんは食を減らし、撮影に臨んだそうです。
全場面を撮り終え、あとはセリフの吹き込みだけ。田中さんは安心したのか、こっそりステーキを食べてしまいました。その声に監督が苦言を呈したそうです。いわく、「肉を食べましたね」と。声の響きの変化をも見逃さない監督の五感は、作品への執念が磨き上げたものでしょう。

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