2013年12月26日

新聞小説

 フランスの文豪ユゴーとデュマは19世紀半ば、劇作家の双璧でした。やがて、読書人口の増大とともに、演劇に代わって、新聞小説のブームが到来しました。先駆けたのは、デュマの方だったそうです。
 当初、新聞小説は営利目的の俗悪な代物と思われていました。だが、1844年に連載が開始された『三銃士』が歴史を変えました。「その一字一行は、まさしくフランス全土に待ち望まれていたのである」(佐藤賢一著『褐色の文豪』文春文庫)
 以後、小説の成否が新聞の価値を左右するようになって行きました。波瀾万丈の人生を生き切ったデュマを、盟友ユゴーはこう、たたえたという。「彼は夏の夕立のように爽快で、人を喜ばせた男だった」(ガイ・エンドア著『パリの王様』河盛好蔵訳、東京創元社)

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