2013年07月28日

声を上げる

 胎児はどうやって形作られていくのか――興味深い話があります。ある細胞が“脳になりたい”と声を上げる。すると隣の細胞が“だったら僕は心臓の細胞になる”と。さらに隣は“骨の細胞に”――偶然性に支えられながらも、こうして互いに補い合う役割が決められていくという。その過程を、生物学者の福岡伸一氏は“話し合い”と呼んでいます。仮に、話し合っている最中の細胞の固まりをバラバラにしてみる。コミュニケーションが取れなくなった細胞たちは自らの役割を見失い、ほとんどが死に絶えるという(『エッジエフェクト』朝日新聞出版)
 生命にはあらゆる可能性が存在しています。可能性が発揮できるのは、「関係性のネットワーク」があるからでしょう。それは、細胞レベルの中だけではなく、一個の人間にとっても言えることです。

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