2013年04月07日

封建的思想の温床

 日本の昔話は第2次大戦直後、進駐軍から封建的思想の温床と見なされたそうです。
 その代表例が「桃太郎」でした。各地で語り継がれてきた桃太郎は、明治時代に児童文学者の巌谷小波らの手により現在の形に整えられました。犬と猿、雉と共に鬼退治に向かう、あのおおらかな勧善懲悪の物語です。
 しかし軍靴の響きが高鳴るにつれ、「日本一の桃太郎」は愛国心の象徴に仕立て上げられました。戦争中のアニメーション映画では、桃太郎が飛行機や潜水艦に乗り、まなじりを裂いて連合国と戦っています(『松居直自伝』ミネルヴァ書房)
 桃太郎だけではありません。桜も軍国主義に利用された犠牲者です。散り際の潔さから“軍国の花”と称されました。巡り来る万朶の春。春風に舞う桜花に、戦火に散った人を偲ぶ悲しみが消えることはありません。

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