2012年11月11日

時を超えた共感

 松尾芭蕉が奥州(東北)などを巡って著した『奥の細道』。この旅から今年で323年になります。旅を終えた芭蕉が晩年、唱導した作風は、「重み」に対して「軽み」と呼ばれるものだったそうです。
 出光美術館学芸員の別府節子氏は紹介しています。当時の江戸では、俳句の師に点付けを請い、その点数で勝敗を競う“点取り俳諧”が横行しました。その為に奇抜な言葉、作為的な趣向、観念的な表現……。芭蕉は、こうした句作を嫌い、日常生活の中に素材を探し、「平明な表現の中に高い境地を表す」作風を追究しました。
 目線を、どこに置くのか。限られた人にのみ通用する表現では、時を超えた共感は得られません。

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