2012年08月21日

二老人

 仕事を子に託し巡礼に向かう二人の老人がいます。一人は自分しか信じない堅物な老人です。彼は周囲には目もくれず、巡礼地に辿り着きました。
 もう一人の老人は善良で快活な人です。彼は道すがら、貧乏と病気に悩む人を救うために手持ちのお金を使い果たし、巡礼を諦める(トルストイ著『二老人』)
 どちらが賞讃されるべき老人でしょうか。物語の最後の場面では、巡礼という形式にこだわるよりも、身近な実践の中にこそ、信仰の真髄があると善良で快活な老人が悟っています。自分ではなく他者のために行動する。そこに人生の真実の価値があると文豪は語っているようです。

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