2012年01月20日

一本のネクタイ

 今年は中谷宇吉郎博士の没後50周年にあたります。「雪は天から送られた手紙である」とは、雪氷学の開拓者・中谷宇吉郎博士の有名な言葉です。世界で初めて人工雪を作ることに成功した中谷氏は、結晶の形と模様から上層の気象状態が分かると考えました。
 石川県加賀市にある「中谷宇吉郎 雪の科学館」には、一本のネクタイが展示されています。それは、師匠・寺田寅彦から譲られたものです。中谷氏にとって、雪がただの雪でなかったように、そのネクタイもまた、ただのネクタイではなかったのです。
 目にする度に師を思い、胸中で対話しながら、困難な研究を続けたのでしょう。後年 中谷氏は、そのネクタイを一人の青年に贈っています。自身が受け継いだ師の精神を、次代を担う青年に託す意味を込めて。

中谷宇吉郎 雪の科学館
http://www.kagashi-ss.co.jp/yuki-mus/


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