2018年08月10日

花火

 『こども歳時記 母と子で読むにっぽんの四季』(第三文明社)。ここには折々の風物詩をテーマに、安井康二さんの愛らしい童画と、橋出たよりさんによる、子ども目線のエッセーが光る。「花火たいかい」では、「わくわくするのに/なんだかちょっとさびしいきもち」と、子どもの繊細な心がつづられます。
 童心のままに生き、絵を描いた画家・山下清の代表作の一つに、貼り絵「長岡の花火」があります。七つの大小の花火を見上げる群衆が、精緻に表現された傑作です。新潟・長岡の花火大会は、140年前にその起源があるそうですが、戦後は、戦争被害者の慰霊、恒久平和の思いを込めて打ち上げられてきました。そして2005年以来、中越地震からの復興を願う「フェニックス」(不死鳥)と名づけられた花火が、夜空を彩るようになっています。
 花火が好きだった山下画伯は言っています。「世界中の爆弾を花火に変えて打ち上げたら、世界から戦争が無くなるのにな」(映画「この空の花―長岡花火物語」)
 この夏、親子で花火を楽しむ機会があれば、平和への思いを一夜の大輪に寄せて、子どもの素直な心に語ってみてはどうでしょう。

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