2017年12月05日

華やかな舞台の裏で

 歌舞伎俳優の坂東玉三郎さんは当代一の女形です。流麗な舞は海外からも高い評価を得ていることはご存知でしょう。
 しかし坂東さんが若い頃は、舞台に立つと笑い声が起きたそうです。身長173センチと、女形としては背が高過ぎたためでした。悩みつつ、長身だった過去の女形の写真を見て研究。着物の内で膝を折り、低く見せることを思いついたのです。体への負担は大きかったが一心に稽古に打ち込み、低い姿勢で踊れるようになりました。後に彼は「人間国宝」に認定されたのです。
 女形には不向きな体形だからこそ、芸が深まり、洗練されたともいえます。一流の域まで実力を高めた人は、華やかな舞台の裏で人一倍の努力を忘れないものなのです。

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