2017年04月30日

古典(クラシック)」

 「古典(クラシック)」という言葉は、ラテン語で「艦隊」の意味を持つクラシスに由来するそうです。つまり国家を守る艦隊のように、人生の危機にあって精神の力となる書物や作品を古典と呼ぶようになったのです。哲学研究者の今道友信氏が『ダンテ「神曲」講義』(みすず書房)で紹介しています。
 ダンテは、愛する人との死別と故郷フィレンツェからの追放という二重苦の中で『神曲』を完成させました。以来、700年間読み継がれ、難解ではあるが、苦難と戦う人々の光となってきました。この1万4千行に及ぶ叙事詩を貫くもの。それは逆境にあっても断じて屈しない、人間の意志の力への信頼ではないでしょうか。ダンテは綴っています。「再び立ち上がれ、そして勝つのだ」(今道訳)と。
 『神曲』は師ウェルギリウスと弟子ダンテの師弟の物語でもあのます。試練の山を越えるため、自らを引き上げる師の存在が不可欠であることを詩人は知っていたのです。

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