2016年01月12日

リンカーンの演説

 本年はリンカーンの「ゲティスバーグ演説」から153年たちます。リンカーンの演説は「人民の、人民による、人民のための政治を」の一節が有名ですが、その前に述べたのは建国の功労者への感謝でした。「全力を尽して身命を捧げた、偉大な主義に対して、彼らの後をうけ継いで、われわれが一層の献身を決意する」と(高木八尺・斎藤光訳『リンカーン演説集』岩波文庫)

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この記事へのコメント
 そろそろ高木・斉藤訳の盲信から離れ、原文を直に読んでは如何でしょうか。彼らの訳は多くの霧を噴霧し、為にリンカーンの真意に触れることが難しいと言わざるを得ません。例えばgovernmentを「政治」と訳すことです。普通「政治」に相当する英語は、politician(政治家)などから連想されるように、politicsでしょう。ところでgovernmentとpoliticsとは相互に密接な関係にありながら、しかし異なった現象の言葉です。これを相撲に例えますとgovernmentは土俵を初めとする既定の諸規則であり、politicsはそれらの諸規則を前提として土俵上で行われる勝敗を賭けた格闘です。このようなgovernmentとしては、politicsと込みにして「政治」とやられたのでは、生きた心地がしません。
 3つのshallについて、アメリカ人は普通「話者の意志」を示すものと理解しますがこの点の理解が極めてあいまいです。そうしたことごとの為に、南北戦争
の最中のthe peopleに対するリンカーンの緊迫した訴えが伝わってきません。
 拙著「"Government of the people, by the people, for the people,"とは何か?」 (2013. 近代文芸社)をご覧頂く機会があれば、と思っています。 
Posted by 小林宏 at 2016年01月13日 16:26