2014年09月30日

虫の声

 青森県の津軽鉄道で、秋恒例の「鈴虫列車」が運行されています。車両内に置かれた虫かごから響く美しい音色に、乗客は一様に耳を澄ます。せみ時雨の喧騒も夏らしくて結構だが、心静かに虫の声を堪能する秋も格別ですね。
 津軽が生んだ太宰治に『きりぎりす』という短編があります。床に就き、縁の下で懸命に鳴く虫の声を聞いた女性が述べています。「この小さい、幽かな声を一生忘れずに、背骨にしまって生きて行こうと思いました」(岩波文庫)


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