2014年08月12日

一冊の本

 32年前の夏。卒業を翌年に控えた創価大学生の集いに、創立者の池田名誉会長が出席し、ある映画の一シーンを語ったことがありました。
 軍隊で鬼のような上官から侮辱される青年。彼が肌身離さず持っていた一冊の本。それはモンテーニュの『随想録』だった。本を読んでいると言っては殴られ、本を蹴飛ばされ、ついに裂けてしまう。若き日に同書を愛読した創立者は、青年の苦悩を分かち合うかのように回想しました。そして『随想録』の一節を紹介し学生を激励。「真っすぐな櫂も水の中では曲がって見える。単に物を見るだけではなく、いかに見るかということが大事」――社会の荒波に立ち向かう学生にとって、「真っすぐな櫂」は、まるで自身の象徴のように思えた事でしょう。

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