2013年11月18日

無名の「高貴な人々」

 「ノーベル平和賞をもらう気持ちは、どんなものですか」。1964年、受賞が決まると、米国の人権指導者・キング博士は、周囲から尋ねられました。
 その質問に答えるべく、博士はシカゴの空港での出来事を思い返しました。飛行機が離陸する直前、故障が見つかる。窓の外を見ると、地上整備員たちが、作業を始めるのが見えた。彼らの衣服は汚れており、体中、油まみれ。その後、飛行機は無事に飛び立った。
 博士は考えた――。整備員の名前は歴史に残ることはない。だが、飛行機の安全を支えるのは彼らだ。人権運動もまた、多くの無名の「高貴な人々」に支えられている。平和賞の本当の受賞者は、こうした人々なのだ、と(『マーティン・ルーサー・キング自伝』日本基督教団出版局)

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