2013年08月29日

ヘレン・ケラー

 宿命を使命に変え、世界中に希望を送り続けたヘレン・ケラーの初来日は、今から76年前の1937年(昭和12年)の4月から8月の事でした。
 離日する直前に行った講演の、貴重な音声録音が残っています。日本の印象や福祉の向上を英語で訴え、「さよなら、ありがとう」と日本語で結ばれています。ヘレン・ケラーが幼い時に目も耳も、口も不自由になり、努力で発声を身につけたことを考えると、まさに驚嘆すべき〝肉声〟といえましょう。
 彼女の原点は、井戸水を片手に受けつつ、もう一方の手のひらに綴られた「WATER(水)」の指文字です。この時、物には名前があると知った瞬間でした。その直後、少女ヘレンは何をしたか。周囲にある物の名を次々と夢中になって聞きました。そして、突然、自分に教えてくれている〝その人〟のことを問いました。手のひらには「TEACHER(先生)」の綴りが躍りました。同時に、心には〝先生〟という偉大な光が輝き始めたのです。
 ヘレンは生涯、このサリバン先生への厚恩を忘れなかったそうです。ヘレンの最後の著作は『先生』。その中で「〝先生〟の指の電流」(中村妙子訳)を今でも感じると述懐しています。

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