2013年05月20日

ロウソクの炎

 ――今にも消えそうなロウソクの炎があります。強く息を吹きかけたり、勢いよく油を注ぐと消えてしまう。だから、手のひらで炎を囲って風を防ぎ、炎がだんだん大きくなるのを待つ――
 精神科医の野田正彰氏が、震災で被災した方々を支える姿勢を、こう語っていました。「ただ疎開させればいい、ただ早く街を復興させてい けばいい」ということばかりに気をとられるのではなく、「被災者の気力を中心に考えて、支援や復興を考えていかなければならない」と。
 被災地では、被災者が避難所を移るたびに、地域の人間関係と切り離され、共同体が壊れていく現実があります。それは「被災者の気力」を奪う大きな要因となっています。先のロウソクの例でいえば、手のひらを外すことです。被災者が立ち上がるきっかけとなる「人と人のつながり」こそ、復興への最大の力にほかならないのです。

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