2012年10月25日

人間の力

 熊本県山都町にある通潤橋は高さ20メートルのアーチ橋です。築造は江戸時代。水の便が悪く、農業にも飲み水にも事欠く白糸台地で暮らす人々のために作られた水路橋です。
 深い渓谷に囲まれた白糸台地は豊富な川がそばにあるものの、台地の外を流れるため水を利用できませんでした。苦しむ人たちを見て、惣庄屋が台地の対岸から橋を架けて水を通す方法を着想しました。しかし、それには深い谷を渡す30メートルの橋が必要だった。だが当時の技術では20メートルが限界。どうするか。知恵と技術と執念の挑戦を開始。石工や民衆の力を借り、橋より高い台地へ水を送ることに成功した(山都町商工観光課)
 帚木蓬生氏の近作『水神』には同じ江戸時代、福岡の筑後川を舞台に、台地の灌漑のため堰と水路を築く5人の庄屋と農民の戦いが描かれています。全責任を担い、万一の時は5人が命を投げ出すと藩に誓約した。先の通潤橋でも石工の棟梁が決死の覚悟をしていました。この二つの史実には共通点があります。命懸けの決意、人々のためとの高い志、困難を克服する知恵と技術、民衆の団結です。歴史に刻まれる偉業には、こうした人間の力が光ります。

通潤橋
http://www.town.yamato.kumamoto.jp/ka/syokokankoka/kanko/tujyunkyo/tsujunkyo.jsp

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と技術と執念の挑戦を開始。
Posted by rolex replica at 2017年12月27日 12:08