2017年10月12日

おや、間違ったのはおれだ!

 世界に名高いウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が、畏敬の念を持って語り継いでいる指揮者がいます。ハンス・クナッパーツブッシュ(1888~1965年)がその人です。
 こんな逸話が残っています。ある公演で、彼が指揮を間違え、演奏が乱れかけた。聴衆には、誰の失敗か分からない。すかさず彼は、大きな声で言った。「おや、間違ったのはおれだ!」(アレクサンダー・ヴィテシュニク著『ウイーン・フィル えぴそーど』、福原信夫ほか訳、立風書房)
 もちろん、指揮者としての彼の技術は高かった。が、それ以上に、自分に非があれば素直に認める飾らない人間性を、楽員たちは慕ったのでしょう。

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