2017年10月05日

希望の萌芽を感じませんか

 1990年代のユーゴ紛争後も、民族間の緊張が続くセルビア共和国。民族が違えば子ども同士も悪口を言い合う。そんな状況下、日本紛争予防センターによる「和解プロジェクト」が実施されました。
 同じ市に住む異なる民族の小学生が“協力して街を清掃する”というもの。まず街の地図を皆で作ります。それまで近づかなかった相手の居住地について質問が飛び交う。やがて一体感が生まれ、会えば仲良く立ち話をするようになりました。
 そうした姿をきっかけに大人たちにも変化が表れたのです。民族の異なる教員同士の交流が盛んになり、三つの小学校が共同で環境カリキュラムを考案したという(瀬谷ルミ子著『職業は武装解除』朝日新聞出版)
 心に深く刻まれた憎しみや敵対感情は、容易に消せるものではないでしょう。真の和解には、さらに長い時間と粘り強い取り組みが必要に違いありません。それでも、このプロジェクトには「人間は分かり合える」という希望の萌芽を感じませんか。

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