2016年04月22日

重ねるたびに手直しされた

 私は「赤芽」と呼んでいますが、生垣などに使われるベニカナメモチの若葉は、燃えるように鮮やかです。赤く見えるのは、葉の中のアントシアニンという色素であり、一説では、紫外線から葉緑体を守る働きをしているそうです。葉緑体の機能が発達して守る必要がなくなれば、葉は赤から緑に。ここでも、環境との応戦はやむことがありません。
 詩集『草の葉』が、版を重ねるたびに手直しされたことは有名ですが、さらに表紙の色も、著者の意向で、初版は緑、第3版は赤茶、最終版は褐色に変えられました。
 緑は30代半ばの著者自身の力強い生命を、赤茶は迫りくる南北戦争で流されるであろう兵士の血を、褐色は晩年の心を映し出していたという。常に時代を敏感に察知し、生涯をかけて民衆の心に語り続けた詩人の真骨頂を見る思いです。

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