2016年02月19日

息子の成長を見た

 大工の名棟梁が若かりし日を語っています。曰く、大工の親方だった父のもとで働いていたが、全国の腕自慢が集まる東京にあこがれ、家を飛び出した。修業を重ね、腕を上げた彼は、鉋の削りくずを故郷に送り、これまでの不孝を詫びたそうです。
 添え書きはなかったが、「あいつも大した大工になった」と父は涙しました。“くず”とは言うが、その1枚の鉋くずに、父は息子の成長を見たのです。これは、建築史家・村松貞次郎さんの『大工道具の歴史』(岩波新書)にあるエピソードです。

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