2015年02月19日

贈りもの

 ある、すし店の店長の話です。修業時代、やっともらえた休暇で、久々の帰郷をすることに。とはいえ、新米ゆえの薄給。往復の汽車賃で財布は底をつき、土産を買う余裕などない。そこへ親方から数個の卵を渡された。“玉を焼いて手土産にしろ”と。
 いつもは饒舌な母が目を潤ませ、黙って箸をつけていたという。母がかみしめたのは、親方の真心、そして、息子が自分で決めた道を真っすぐに進んでいることへの喜びだろう。母にとって、わが子の成長した姿以上の贈りものはないからです。

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