2015年02月16日

こんにちは、お元気ですか

 毎日、散歩を欠かさない高齢の夫妻がいます。以前は、障がいのある妻が外出を嫌い、互いに気持ちが塞ぐばかりだったそうです。ある日、夫が妻を外に連れ出した。妻を気遣いながら抱えるように歩く。道行く人は、仲睦まじい夫妻に笑みを投げかけ、見守ってくれました。
 そのうち、妻の方から会う人ごとに声をかけ始めました。やがて、一人また一人と、あいさつを返してくれるようになり、気がつけば、夫妻が言葉を交わす相手は40人近くに。最初の一歩、そして最初の一声が、豊かな人間関係に導くスタートでした。
 そもそも人の「声」は、声帯だけで出すものではないといわれています。肺、気管、喉頭、咽頭、鼻、顎、口(歯、舌、唇など)が、本来の役割を離れて働き、複雑な連携プレーの果てに生み出される“奇跡の音”です。
 「こんにちは、お元気ですか」と言うだけでも、100を超す筋肉が無意識のうちに協調し、心の思いを外に開放してくれているのです(アン・カープ著、梶山あゆみ訳『「声」の秘密』草思社)

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