2014年09月27日

晩年のカント

 晩年のカントは、友人を招き、会食・歓談することが常であったそうです。語らいは、厳格な道徳哲学を説く高名な学者とは思えぬような、快活・陽気でウイットに富むものであったと伝えられています。
 カントは、歓談における注意事項を細かく書き記しています。曰く、誰もが会話に加われる話題を選ぶこと。必要もないのに話を変えない。相手を意固地にさせる雰囲気には陥らないように。お互い尊敬と敬意を忘れまい。そして、笑いのうちにお開きとすること。気持ちのいい大笑いは、胃の消化にもいい……等々
 「真のヒューマニズムと最も調和するように思われる安楽は、善良な(それと、できればそのつど違った顔触れの)交際仲間による美味しい食事の集い」(「実用的見地における人間学」渋谷治美訳)とまでカントは語るっています。適正な人数は4~10人とも。顔の見える規模であると。

この記事へのトラックバックURL

http://asunimukatuye.mediacat-blog.jp/t103378