2018年05月23日

フィトンチッド

 昔から「4月の風は光り、5月の風は薫る」といいます。確かに日の光が熱を持つにつれ、匂いもまた増していくような気がしますね。
 実際、樹木の成長が活発になる今の時期には、「フィトンチッド」と呼ばれる芳香を持った物質が、葉から多く放出されるそうです。これこそが香りの元。森や林でなくても、近所の公園など樹木の多い所なら、吹き抜ける風が運ぶ新緑の香りを楽しめるはずなのです。
 風は見えない。だがその存在を、香りや肌で感じることはできる。英国の詩人クリスティーナ・ロセッティは歌いました。「誰が風を見たでせう?/僕もあなたも見やしない、/けれど木の葉を顫はせて/風は通りぬけてゆく」(西条八十訳)
 心もまた、見えない。見えないが、言の葉のやり取りを通じて、その温かさを知りますね。  

Posted by mc1460 at 11:54Comments(2)TrackBack(0)つぶやき