2017年10月01日

人間が人間である証し

 ボスニア・ヘルツェゴビナの首都に、〝サラエボの冬〟という国際芸術祭があります。来年2月で34回目を迎えるそうです。第1回は1984年。サラエボ五輪を記念して始まりました。
 90年代のボスニア紛争。武装勢力に包囲されたサラエボでは、一般人さえ狙撃されました。そうした過酷な状況下でも、芸術祭は毎年、市民の手によって続けられてきたのです。驚くべき歴史ですね。
 13回目に出演した、国際的ピアニスト・舘野泉氏は"感動を禁じ得なかった"と、述懐しています。〝文化・芸術が自分たちを支え、未来への力となり、人と人を結ぶことを、不条理な世界の中でも信じ続け、実現してきた人々がいるのだ〟と(『ひまわりの海』求龍堂)
 「文化」は、政治や経済の付随物ではありません。人間が人間である証しであり、目的なのです。  

Posted by mc1460 at 12:24Comments(88)TrackBack(0)つぶやき