2016年11月10日

不遇の下積み時代

 映画「幸福の黄色いハンカチ」が初出演作だった武田鉄矢さんは、撮影中、よく叱られました。「俺ばっかりいじめるんですよ」とこぼす武田さんを、主演の高倉健さんが励ました。「伸びないやつは、しごかないんだよ」と。
 高倉さんも、大学卒業後に入った俳優養成所では落ちこぼれだったそうです。「他の人の邪魔になるから見学していてください」と苦言されたこともありました。それでも母からの「辛抱ばい」との言葉を支えに、映画界で不動の地位を築いたのです。
 不思議にも、同じ11月10日に世を去った高倉さん(2014年)、森光子さん(12年)、森繁久彌さん(09年)といった名優には皆、不遇の下積み時代がありました。先の高倉さんの言葉の重みは、大スターゆえではないだろうか。辛酸と苦闘の青春時代を、貴重な芸の肥やしに転じながら、演技の新境地を開いた人生の重みです。  

Posted by mc1460 at 13:54Comments(0)TrackBack(0)つぶやき