2016年03月11日

はじまりのごはん

 池田SGI会長の小説『人間革命』に、戸田城聖第2代会長が関東大震災のことを思い出す場面があります。戸田城聖第2代会長が上京して3年が過ぎた23歳の出来事です。内容は、震災4日目の朝に飲んだみそ汁の味が忘れられない、ということでした。思い出すのが周囲の被災状況ではなく、みそ汁の温かさだという事実に、考えさせられます。
 今日は、東日本大震災から5年。風化が進む現実と「あの日を忘れないで」という声のはざまで、何を伝え、何を残すのか。昨年、「3月12日 はじまりのごはん」と題する展示がありました。これは東日本大震災の翌日以降に、被災者が食べたものを写真で紹介していた展示でした。
 それを見た来場者も当時の様子を付箋に書き、写真パネルの周りに貼っていました。「商店の主人が『小さい子どもがいるんだろ。あるだけ持ってけ』と分けてくれた食材で命をつないだ」「毎日、若者たちが自転車で何往復もして、年寄りの私たちに届けてくれた水を沸かして食事をした」。心で感じたぬくもりは、手や口で触れた温かさとして記憶されているのかもしれません。  

Posted by mc1460 at 11:41Comments(0)TrackBack(0)つぶやき