2015年01月11日

学生時代の誓い

 青森県出身の画家・鷹山宇一氏(故人)は、独創的な作品もさることながら、豊かな人間性も注目を集めました。
 娘のひばりさん(青森県立美術館長)は語っています。小学生の時、ひばりさんは本が好きで、学校には行かず読書三昧。たまに学校に行くと、決まってテストの日にぶつかったそうです。勉強していないから点数は悪く、母親に叱られました。ところが鷹山氏は「大したものだ。何もしてなくても30点も取れるのか」「勉強する時間があれば本を読んでいればいい」と認めてくれたそうです。
 時は移り学生時代、ひばりさんは奇抜な髪形を大学にとがめられ、処分の対象になったそうです。学校に呼び出された鷹山氏は学長に訴えました。“人間は姿形ではなく、自分の力を信じて社会貢献する人生こそ尊いということを、娘に教えてほしい”と。土下座せんばかりに頭を下げた父を見て、ひばりさんは、いつかこの父のために生きる人生をみつける、と心に誓ったそうです。
 どこまでも、わが子の個性を認め、成長を信じて見守る。言うは易く行うは難しですが、親が子どもに寄り添い、一緒に成長しようと努力する時、親子関係はより豊かに広がっていきます。ひばりさんは後年、父の美術館に携わり、学生時代の誓いを見事に果たしました。  

Posted by mc1460 at 10:29Comments(0)TrackBack(0)つぶやき