2012年11月10日

教育環境

 「これでは日本の将来が危険である」。創価学会が創立された1930年、牧口初代会長は友人に綴ったそうです。当時、第1次世界大戦の余波で、政治や経済が大混乱。教育界にも、しわ寄せが及び、初代会長の苦悩は極まっていました。「最近の教育行政も、また実務にあたる学校教師も全く事務的で精神がなく、教育の破壊をしている」と。
 実は、大正から昭和初期、教育界は、数字上は発展期でした。中学の生徒数は1920年からの10年で倍増。18年の大学令以降、大学の認可が相次ぎ、大学生の数も8倍近くになりました。しかし教育内容は、国家主義の傾向を強めていったのです。 
 牧口会長の憂慮から15年、日本は敗戦を迎えました。一見、飛躍的な教育環境の前進の中で、行く末に警鐘を鳴らした慧眼が光っています。  

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2012年11月09日

ルネサンス

 『十二世紀ルネサンス』(伊東俊太郎著、講談社学術文庫)という本があります。通常、ルネサンスとは、イタリア・ルネサンスのことで、14~16世紀に起きた運動を指します。しかし、この書では西欧世界の文化的基盤が準備された12世紀にも、ヨーロッパ文化の一大転換期があったと指摘しています。
 曰く、この転換を可能にした要因が、外的にはイスラム文明との出あい。そして、内的要因の一つは「農村の生産力向上」だった。すでに9世紀ごろから、農地を三つに分けて、一つの農地を必ず休ませ、地力を回復させる農法なども普及している、と。
 これまで社会の進展をリードしてきたのは都市の市民階級といえるでしょう。だが、それを支えてきたのは「食」を生産する農村です。創価学会の牧口初代会長は『人生地理学』で農民が「自ら勤労の習慣と共に倹約の気風を生す」と、その勤勉さを讃え、“民衆の大地”がひとたび動けば、時代に大きな力を与えると指摘しています。

十二世紀ルネサンス http://library666.seesaa.net/article/34244062.html  

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2012年11月08日

本音と建前

 「建前なんか捨てて、本音で生きよう」と、人はしばしば口にします。それに対して、ジャーナリストの花森安治氏は「建前と本音というが、建前は通すべきである。本音とは弱音のことだ」と指摘しています。
 花森氏のいう「建前」とは、自らの日常を律する規範。「本音」とは、ついポロリとこぼれ落ちるグチや不満……。日本人のそんな心の内側を、花森氏は鋭く見抜いたのでしょう。
 本音が〝弱音″になってしまうのは、心が後ろ向きだからにちがいありません。逃げ腰ならば、ちょっとした困難もグチの種になりがちです。建前が窮屈に感じられるのも、いやいや従わねばならぬ〝外的規範″と受け止めているからでしょう。そもそも、建前と本音に二極分解している心の状態こそが、問題なのです。  

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2012年11月07日

プラトン

 哲学者プラトンの『饗宴』の原題は「シュンポシオン」といいます。これは英語の「シンポジウム」の語源でもあります。内容はプラトンの師匠ソクラテスら数人の教養人が、食卓を囲んで討論する模様を描いています。。執筆は、学園「アカデメイア」の創設まもない頃で、師を理想とする人材育成のことが念頭から離れなかったとされています。
 人類の教師ソクラテスに人間教育の理想を見た一人に、教育者でもある、創価学会の牧口初代会長がいます。彼が表した『創価教育学体系』にもこの、哲人・プラトンの名が記されています。  

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2012年11月06日

「渋味」を「甘味」に

 「柿むく手 母のごとくに 柿をむく」(西東三鬼)。たわわに実った秋の味覚に、母と過ごした郷里を思い出す人も多い事でしょう。渋柿は渋味が強く、とても食べられません。これは、タンニンと呼ばれる成分のためです。だが柿を日光に触れさせたり、ヘタの部分を焼酎につけて寝かすことで、タンニンの渋味が抑えられ、甘味になり、おいしく味わうことができます。
   

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2012年11月05日

人間の性質

 東海道新幹線の開業から約半世紀。これまで、事業者側に責任のある乗客の死亡事故はありません。しかし開業から数年は、あわやの事態の連続だったそうです。
 1967年、運転車両部長の齋藤雅男氏はある駅を視察し、助役2人と面会しました。1人に非常時の対応を問うと、20以上もの項目を全てそらんじました。もう1人も伝令方法について、暗記内容をすらすら答えたそうです。
 だが齋藤氏は、暗記の努力を褒めるどころか、チェックリストを指し、強く言ったそうです。「これに従ってやれば、ミスはない。憶えることは絶対に禁止する」"非常事態は突然起こる"。人間の心も“非常”の状態になる。と指摘しました。
 マニュアルを記憶していても、正しく判断できるものではない。氏は、慢心に陥りがちな人間の性質を指摘したのだ(『新幹線安全神話はこうしてつくられた』日刊工業新聞社)  

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2012年11月04日

軽薄なる人間観

 作家の山田太一氏が友人の医師に尋ねました。“医者になって何年ぐらいすると、患者が亡くなるのが平気になるんだ?”。すると、日ごろ温厚な彼が「平気になどなるか」と怒ったそうです。
 山田太一氏は、長くマスコミの世界にいると、多くの人は「物事を人よりさらに『すれっからしの目』で見よう見ようとしてしまう」と語っています。そして、自身も「軽薄なる人間観に、いつの間にか首までつかっていた」と(『いつもの雑踏いつもの場所で』冬樹社)  

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2012年11月03日

“機械の人間化”“人間の機械化”

 将棋の対局でコンピューターがプロ棋士を破ったり、上手に歌って踊る女性型ロボットが披露されたりと、“機械の人間化”が話題になっています。これは技術の進歩が、機械と人間の垣根を一段と低くしている事例です。
 とはいえ、機械に豊かな感情は持てません。「人間の心を持った機械」は、当分できそうにない事でしょう。しかし私たちは時に「機械のような心の人間」になっていないでしょうか?
 フランス文学者の渡辺一夫氏はこう指摘しています。社会の約束ごとや習慣は守った方が、無駄な労力を免れる。しかし、それらを金科玉条にして固執すると、人間は機械になってしまうと。「徳目や法律に捕われすぎますと、『善玉の鬼』や『法律の鬼』になり、人間に対して、冷酷になります」(『文学に興味を持つ若い友人へ』彌生書房)  

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2012年11月02日

インビクタス/負けざる者たち

 「変わるべき時に私自身が変われないなら、人々に変化を求められません」。これは、映画「インビクタス/負けざる者たち」における、マンデラ大統領のせりふです。
 アパルトヘイト(人種隔離)の悲劇を越えて、新生・南アフリカ共和国を率いる氏は、人種の融和に心を砕きます。「和解と赦し」を掲げ、ラグビー代表チームの白人キャプテンとも友情を。「なぜ?」との問いへの返答が、冒頭の言葉です。。

インビクタス/負けざる者たち http://wwws.warnerbros.co.jp/invictus/  

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2012年11月01日

データ

 たった一人で、世界6大陸の最高峰を登頂した青年登山家が体力測定しました。医師が驚いて告げました。「腕力、脚力、肺活量、すべて平均点以下です」と。
 だが彼には、データでは測れない、限界を突破する秘訣がありました。それは「ありがとう」とつぶやくことです。彼は8000メートル級の峰で、苦しくなればなるほど「ありがとう」を繰り返えしたそうです。すると“この困難が自分を磨いてくれる”と力がわき、次の一歩を踏み出せるという(栗城史多著『一歩を越える勇気』)  

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